飛行機旅行Q&A


Q1 ストレッチャーってどんなものですか?
まずは写真・を見て下さい。ストレッチャーは、金属製のパイプと丈夫な布でできています。JALのストレッチャーは長さ190・幅56・。折り畳んだ座席の上に、頭が飛行機の前になるように後ろ向きで横になります。私の場合は、普段寝台式車椅子で使っているマットを布の上に敷きましたが、航空会社でもマットを用意してくれていました。シートベルトは腰と肩で締めるようになっていましたが、苦しかったのでごく軽く締めて、離着陸時だけ体がずれないように介助者に手を添えてもらいました。
天候にもよるのでしょうが、揺れも少なく車での移動よりずっと快適でした。ただ、着陸の時にマットが布の上を滑ってしまいましたから、何か工夫が必要だと思います。それから、ストレッチャーにカーテンがついていましたが、体調が悪いわけではない私には不要でした。一緒に旅行した介助者・友人とおしゃべりするのにはない方がいいと思いましたし、ストレッチャーを乗り降りするときにも邪魔でしたので、カーテンを使うかどうか、事前に選べるといいですね。

Q2 ベンチレーターはどこに置くのですか?
頭のすぐ脇の座席に置いてシートベルトで固定しました。蛇腹のホースが届かないことも考えられたので延長ホースを用意しましたが、実際には届いたので使いませんでした。

Q3 ベンチレーターの電源はどうするのですか?
私たちが通常使っている湿式バッテリーは、強い酸性の液体が入っているため破損した場合危険だということで機内では使えません。受取手荷物(機内に持ち込まない手荷物)として預けます。従来は乾式バッテリー(約3〜4万円)を自分で用意するしかありませんでしたが、今回は機内で家庭用と同じ12Vの電源を引いてくれました(写真・)。これはたいへん評価できる努力だと思います。使用電力量が大きくてバッテリーでは使えない加湿器も使えたので、機内の乾燥した空気も気になりませんでした。

私は、JALより非常時のことを考え乾式バッテリーを用意してほしいと言われ、購入して持参しました。ベンチレーター使用者で乾式バッテリーを所有している人はあまりいりません。ですから、飛行機を利用する人、ひとりひとりが購入するのではなく、航空会社が必要に応じて貸してくれると、より利用しやすくなると思います。ベンチレーターに限らず心拍モニターなどの医療器機も使えますし、電源を引く時間のない急の利用者にも便利だと思います。

Q4 ベンチレーター・加湿器以外の機器も機内で使えるのでしょうか?
吸引機(サクション)、心拍モニターも使えます。この他、JALで発行しているパンフレットによると、規格内の医療用酸素ボンベ(原則として航空会社所有のもの)や、透析(CAPD)のための機器の使用も可能です。またインターフェロンの持ち込み、インシュリンと注射器の持ち込み使用もできるとあります。また心臓ペースメーカー使用者の飛行機利用も問題はないということです。盲導犬・聴導犬を機内に連れて入ることもできるそうです。

ただし、電気機器については、使用中に発生する電波が飛行に影響を与えないかどうかを調べるためにカタログ(仕様書)のコピーを前もって提出する必要がある場合があります。

今回もベンチレーター・吸引器については前もって仕様書をJALに提出しました。
JALで使用可能な呼吸器一覧(2014年1月 現在)

Q5 航空会社にはいつ連絡したらいいのですか?
ベンチレーターなどの電気機器を使用しないストレッチャー利用者の場合は出発の72時間前までなら受け付けるとのことです。しかし、今回のように電源を引く機内改修を伴う場合は、早めに連絡してほしいとのことです。ベンチレーターの使用で生じる電波の影響を調べるのに時間がかかるようです。私の場合は約半年前に航空会社に利用したい旨を伝えました。日程が定まったらすぐに連絡するといいと思います。

日本航空の場合は、東京に「お身体の不自由なお客様のご予約・ご相談窓口(プライオリティ・ゲスト予約センター)」があります。ここに電話すれば専門の方がいますから、話がスムーズだと思います。ただし全国の支店でも対応してくれるということですので、東京から遠い場合は電話代もかかりますから、最寄りの支店に電話するといいと思います。私の場合も札幌支店で対応してもらいました。

全日空と日本エアシステムでは、この種の障害者専用の窓口は設けておらず、通常の窓口で対応しているとのことです。

Q6 事前に診断書などを提出する必要はありますか?
ストレッチャー使用者の他、酸素ボンベ、医療機器の使用者には医師の診断書(出発の7日以内の診断による)の提出が求められます。私も今回は提出しました。しかし、ストレッチャー使用者全て、酸素ボンベ・医療機器使用者全てに診断書を求めるというのは変だと思います。

通常の車椅子を使っているというだけでは診断書の提出は求められません。私がすとレッチャーを使うのは、座位がとれない=車椅子が寝台式であるというだけの理由です。車椅子の形が違うだけで診断書を求められるのはおかしいと思います。また、私にとってベンチレーターは車椅子や松葉杖や眼鏡と同様の生活の道具ですから、それを使っていることをもって診断書を求められるのも納得できません。人工呼吸器は生命維持装置ではなく生活の道具であるという認識を持ってほしいと思います。

Q7 チケットはいつ買えばいいのですか?
正式に予約したときに支払いをします。予約は2ヶ月前からできますが、お盆や年末年始のような時期を除けば1ヶ月前でも問題ないでしょう。介助者・同行者の割引は一人だけですから、二人以上いる場合は搭乗日の28日以上前にチケットを購入すると25〜30%割引かれる「事前購入割引」を利用するといいと思います。国内各社ともこの制度を持っています。

Q8 車椅子はどこで乗り換えるのですか?
標準タイプの車椅子を使える人は、空港の搭乗手続きカウンターで空港の車椅子に乗り換えて、そこで自分の車椅子を受託手荷物として預けます。しかし、寝台式車椅子など特殊なタイプの車椅子の場合は、自分の車椅子で飛行機の搭乗口まで行けます。ストレッチャー席は搭乗口のすぐ近くに設置されています。乗ってきた車椅子はそこではじめて受諾手荷物として預けます。降りる際にはまた搭乗口まで持ってきてもらえます。

私が利用した新千歳空港と関西国際空港では、乗り口まで段差なく行けましたが、タラップ(移動式の階段)を使うタイプの空港では、リフトを用意してもらえます、空港まで乗って行ったリフト車などの乗用車を滑走路内まで乗り入れることも可能です。その場合は使用する車のナンバーと運転手名を前もって伝える必要があります。

Q9 空港にはどれくらい前に行けばよいのですか?
一時間前に搭乗手続き(チェックイン)をしました。一般の乗客は国内線の場合、出発の20分前までにチェックインをしますが、車椅子使用者などの場合、一番始めに搭乗し、一番最後に降りることになります。ですから、早めにチェックアウトカウンターで手荷物を預けます。ここからは航空会社の係員の方が案内してくれます。客室内に持ち込む手荷物が持ちきれなければ、案内の方に手伝ってもらえます。

案内に従って、まず金属探知機があるところを通ります。(実際には、金属製の車椅子とベンチレーターと一緒の私は、探知機をくぐりませんでしたが。)普通は見送りの人はここから中には入れませんが、事前に申し込んでおけば入ることができます。中に入ったら、再び案内に従って利用する飛行機の前まで行って一休み。後は出発の20分くらい前に案内されたら、一般の乗客を後目に、いちばん始めに乗り込むという手順になります。

Q10 どんなものを準備していきましたか?
現地で困ることのないよう、医薬品やベンチレーターの付属品の予備など充分に持っていきました。下記にピックアップしておきます。

●船便で送ったもの
リフト付ワゴン車(現地での移動のため)
ベンチレーター積載台
電源延長コード2本
サイドテーブル(常用のもの)
室内使用の吸引器(予備のため)
湿式バッテリー1個(予備のため)
吸引セット・カニューレなどの医薬品(6日分と予備)
お風呂マット

●手荷物扱いのもの
ベンチレーター1台(常用のもの)
手動式ベンチレーター1個(常用のもの)
手動式ベンチレーター1個(予備のため)
乾式バッテリー1個
吸引・カニューレなどの医薬品
ベンチレーター付属品(蛇腹・人工鼻など)

●機内持ちこみのもの
ベンチレーター1台(常用のもの)
手動式ベンチレーター1個(常用のもの)
手動式ベンチレーター1個(予備のため)
乾式バッテリー1個
吸引・カニューレなどの医薬品
ベンチレーター付属品(蛇腹・人工鼻など)

●現地調達したもの
リクライニング式ベッド (いつも使っているものと同じタイプのもの)
ベンチレーター加湿器用の蒸留水 (6日分)

Q11 ベンチレーターのバックアップはどうしましたか?
本来なら、ベンチレーターが故障した時のことを考えて2台持っていけるといいのですが、現状の制度ではできません。(自費で購入したり、短期間レンタルすることはできますが。)

そこで私は、ベンチレーターのディーラーの大阪支店に連絡して、万が一故障した時はそこに知らせて代替器を用意してもらうことにしました。

また、手動式ベンチレーターも落としたりして壊れることがあるので、こちらは予備に購入して二つ持っていきました。
Q12 料金制度はどんなふうに変わったのですか?
今回の大阪旅行で最大のネックになったのは航空運賃の問題でした。
札幌・大阪間の大人の往復料金は57.300円(往復割引料金)ですが、大阪旅行を計画した際に航空会社に計算してもらったところ、ストレッチャーを必要とする私は、介助者一人を含めて9席を占有することから大阪往復で311.660円(成人通常料金の約5.4倍)という高額が示されました。このように障害を持っていることで高い料金を払わなければならないのは問題であるとして、旅行資金のカンパを呼びかけると同時に、運賃制度の問題性を訴えてきました。

「交通券を考える連絡協議会」事務局長の宮下さんを通して、私たちの訴えを知った参議院議員(当時)の高崎ゆう子氏が、この問題を運輸委員会で取り上げ、亀井静香運輸大臣の前向きな答弁を引き出したことから、急きょ5月8日から運賃制度が改められました。往復218.960円(成人通常料金の約3.8倍)となったのです。亀井運輸大臣の答弁は、要するに「航空会社は多方面にタダ券配ったり、社員やその家族はタダ同然で利用しておいて、障害者にこの料金はないんじゃないの」という主旨でした。

航空運賃は、制度上、航空会社が運賃改定を運輸省に申請し運輸省が認可するということになっていますが、今回の運賃改定は運輸省の指導が大きかったようです。国内の各航空会社も「ストレッチャー料金」を新設しました。

それでは、少し複雑ですが、旧運賃制度と新運賃制度を説明します。


●旧制度
障害者本人の1座席は、障害者割引として通常料金の25%割引し、ストレッチャーや呼吸器を設置するために占有する2座席以上の料金は1座席あたり50%割引です。
佐藤さんの場合、介助者の1座席を含めて9席を占有しましたから、25%引きで2席、50%引きで7席分の運賃を支払う必要がありました。

○算出方法(片道)
摘要 内訳 金額
本人と介助者の2座席
(25%割引)
\35600*75%*2席 \53,400
ストレッチャー&ベンチレーター分の座席数
(7席分*50%割引)
\35600*50%*7席 \124,600
ジェット料金 \850*2席 \1,700

合計 \179,700


●新制度
「ストレッチャー料金」という制度を新設し、ストレッチャー利用料金が一律・大人通常料金の2座席分となりました。「ストレッチャー料金」は子どもも大人も同額です。この「ストレッチャー料金」とは別に、本人1座席(25%引き)と介助者1座席分(25%引き)も支払います。この制度改正で今回の新千歳・関空往復の場合、旧制度と比べて約30%安くなりましたが、それでも成人通常料金の約3.8倍です。

○算出方法(片道)
摘要 内訳 金額
本人と介助者の2座席
(25%割引)
\35600*75%*2席 \53,400
ストレッチャー料金
(通常料金*2席)
\35600*2席 \71,200
ジェット料金 \850*2席 \1,700

合計 \126,300

Q13 今回の旅行に必要な予算はどのくらいでしたか?
私がベンチレーターを使用していること、座位がとれないために、さまざまな特別な費用がかかりました。次にピックアップしてみます。

摘要 金額
航空運賃(介助者1名含む) \218,960
リフト車輸送(船便) \86,180
ベッドレンタルXV \20,000
乾式バッテリー(予備用) \30,000
診断書作成 \3,000
手動式ベンチレーター購入(予備用) \13,325
6泊7日宿泊代(車椅子用ルーム) \101,540

合計 \473,005

以上の必要経費だけで、合計約47万円。これにその他の出費や介助者の人件費などを加えると軽く50万円を超えてしまいます。これでは気軽に旅行をするというわけにはいきませんね。
これからもベンチレーター使用者や座位のがとれない障害者が気軽に旅行を楽しめるように、みんなで社会に働きかけていきましょう。


(資料)
参議院委員会でのやりとり(会議録より)95年2月21日


●高崎裕子参院議員(北海道選挙区)
それでは次に、障害者問題に移りたいと思います。

これも大臣にお願いいたしますが、障害者が社会参加をしていく上で交通手段の整備と利用の便をいかに図るかということは大変重要で、私も何度も何度もこの運輸委員会で取り上げてきましたが、今日は新しい問題ですけれども、。たいへん深刻な問題ということでお尋ねいたします。

ベンチレーター、人工呼吸をつけて自立して生活している方が、同じ障害者同士で集まりを持つということで大阪に行きたい。ところが、札幌から大阪に飛行機で行くために飛行機代がなんと20万円もかかる。通常の6倍かかってしまうんです。要するにこの方は座ることができなくて寝たままの状態で搭乗するために、命そのものを支えるベンチレーターの場所で約9席分の広さを使うということがその理由にあるわけです。

これは通常の方でも2席以上使う場合、複数の席をとる場合は、2席からは50%割引になるんです。お相撲さんとかそういう複数の席をとる方ですね。通常の方でも2席以上は50%割引になるわけですから、障害者の方の、介助者も当然これはつかなきゃならないわけですし、複数以上の席については、健常者以上の割引ということについてなんとか考えていただけないか。こういうことによって障害者も自由に移動する保障がつくられていくということで、この点はぜひ大臣に検討していただきたいというふうに思うんですが。

●亀井静香運輸大臣
私、今まで値段のこと詳細に知らなかったんですが、今手元に資料を受け取りましたが、正規の場合は571.500円、それが現在45%の割引で311.660円ということのようであります。

それにしてもやはり高額になるわけでありますので、これは私がまた強権的といわれちゃ困るわけありますけれども、航空各社に障害者の方々に対していろいろ航空会社も割引等をやったり、プロゴルフの選手に外国行きの無料の航空券を渡したりしておるではありますから、それと一緒にするわけにはまいりませんけれども、やはり障害者の方々の負担を、航空会社としては大変なことであろうと私思いますけれども、努力をしてくれるように要請をいたしたいと思います。