用語集


1回換気量
ベンチレーターが肺に空気を送る1回あたりの量。個々の状況によって設定が異なる。

BiPAP
BiPAP(バイパップ)。Bilevel Positive Airway Pressureの略。
二相式気道陽圧により、気道内にかかる圧力を吸気と呼気の二段階(バイレベル)にするベンチレーター。

本来侵襲的、非侵襲的ベンチレーションに限らず、その吸気仕様を意味する言葉であったが、レスピロニクス社が発売した経鼻式人工呼吸器にBiPAPという商標を使ったため、非侵襲的の二相式ベンチレーターのことをさす言葉として定着した。

CPAP
CPAP(シーパップ)。Continuous Positive Airway Pressureの略。持続性気道陽圧のこと。

I:E比
I:E比(吸気時間呼気時間比)とは、吸気(空気が肺に入ってくる)時間と呼気(空気が肺から出ていく)時間の比率のことです。

例えばI:E比が1:2の場合(通常の呼吸は1:2)、呼気時間が吸気時間の2倍ということです。仮に吸気が1.5秒とすると次の吸気は3秒後になるので、その間に呼気がなされます。吸気時間を変えるとI:E比の設定が変わります。

SIMVモード
基本的に使用者自身の吸気努力に反応して換気を行い、吸気努力がない場合は設定された呼吸回数、換気量で換気を行うモードです。PEEP(気道内圧をゼロにしない機能)を使うことも可能です。

アシストコントロールモード
SIMVと同様に使用者自身の吸気努力に反応して換気を行い、吸気努力がない場合は設定された呼吸回数、換気量で換気を行いますが、吸気努力があれば設定以上の回数でも換気されます。PEEP機能は使えません。もっとも使用しやすいモードと言えます。

アラーム
ベンチレーターの以上を知らせる警報。低圧・高圧アラーム、電源切り替えアラームなどがある。

アンビューバッグ
アンビューバッグとは、正確に言うと商品名で、手動式人工呼吸器のこと。両手でバッグの中央部を押し、その圧力で肺に空気を送り込む。構造がシンプルでバッグの厚さも数ミリあるので、丈夫でめったに故障することはなく、分解洗浄も可能。用途は多く、入浴時や移動時、何よりもベンチレーターが故障した時や停電時には、ベンチレーター使用者の心強い味方となる。

胃ろう
おなかから胃に通じる管を入れ、チューブを通して栄養や水分などの補給を行うこと。主に口から食事を取れない人が用いる方法。

インターフェース
気管切開(侵襲的人工呼吸療法)ではなく、非侵襲的人工呼吸療法を行う際にベンチレーターとつないで用いる接合器具。鼻に装着する鼻マスク、顔全体に装着する顔マスク、鼻孔に装着するネイザルピロー(鼻枕)、口にくわえるマウスピースなどがある。

ウィーニング
ウィーニングとは、リハビリテーションの一つでベンチレーターをはずすことです。

5分〜10分とベンチレーターなしで呼吸の練習をしたり、ろうそくの火を呼気で消したり、「少しでも自力で呼吸できるように」と離脱を目的としたリハビリです。これは、当事者の同意や医者のきちんとした説明のもと行われるものです。

しかし、強制的で過度なウィーニングは本当に生命の根幹を揺さぶるほどの体力の消耗をきたします。無理せずドクターに相談するといいでしょう。ウィーニングをするしないは、ベンチレーターをつけた当事者本人が決めることなのです。

ウォータートラップ
加温加湿器の加湿によって、管にたまった水滴を貯めておく容器。呼吸器や気管に水滴が入ることを防ぐ効果がある。

エド・ロバーツ
アメリカの自立生活運動や権利擁護運動の先導者で、「自立生活運動の父」とも呼ばれている。日本の障害者運動にも大きな影響を与えた人物。

嚥下
食べ物や飲み物を飲み込むこと。筋力の低下などによってこの力が弱まると、嚥下障害につながる。

嚥下障害
嚥下とは食べ物や飲み物を飲み込むという意味で、嚥下障害とは、飲み込むことが困難な状態のことを指します。ALSや筋ジストロフィーの障害を持つ人は運動機能や筋力の低下によって飲み込むことが困難になる場合があります。

嚥下障害の場合、食べ物や唾液が気管に入ってしまい、それが肺まで達すると肺炎の原因になります。痰を自力で出すことも難しくなります。

嚥下障害の強い人が気管切開した場合、気管に入れるカニューレ(チューブ)に付いているカフと呼ばれる風船状のものを膨らませます。そうすると気管に食べ物などが入ることを防ぐことができます。その反面、発声ができなくなります。ちなみにカフを膨らませていても発声のできるスピーチカニューレもあります。

回路
ベンチレーター本体と、カニューレあるいはマスクとをつなぐ部分。チャンバー、加温加湿器、バクテリアフィルター、ウォータートラップ、呼気弁といったパーツが蛇腹管と呼ばれるホースによってつながっている。

回路交換
一般的には2週間ごとに蛇腹管やバクテリアフィルター、加温加湿器のチャンバーなどの交換を行う。その行為を回路交換という。

外部バッテリー
外出時など家庭電源からベンチレーターの電源を取れないときに用いるバッテリーのこと。メーカーによって異なるが、専用の外部バッテリーまたは市販のバッテリーを使用する。使用する場合はディーラー等に相談して、ベンチレーターの仕様に合ったものにする。使用する場合はディーラーに相談する必要がある。

カエル呼吸
カエル呼吸(舌咽呼吸)。非侵襲的人工呼吸療法を行う人が、口と喉の筋肉を使って、肺に空気をためる方法。

ガス血
動脈血液ガス分析のこと。動脈血を調べることで血中の二酸化炭素濃度や酸素濃度がわかる。

カニューレ
ベンチレーターを接続するために気管内に挿入するチューブ。気管切開チューブとも呼ばれる。様々な種類、大きさのものがある。

カニューレ交換
痰などで汚れるために2週間に1回カニューレを交換する。通常はドクターが行うが、カニューレが抜けるというアクシデントに備えて介助者や家族がカニューレ交換の技術を習得する必要がある。

カフ・アシスト
咳払いを補助する機器。マスクを鼻と口にあてて使用する。陽圧によって肺が膨らまされた後、瞬時に陰圧の吸引サイクルに変わり、通常の咳のように肺から空気を素早く引き出す。その結果、無理なく気道から分泌物を除去することができる。

カフなしカニューレ
カフ付きに比べ気管への圧迫感が少ないカニューレ。挿管しやすく出血や痛みが少ない。但し、誤嚥が防げず多少の空気漏れがある。

カフ付きカニューレ
誤嚥や空気漏れを防ぐためのカフ(バルーン=風船)が付いたカニューレ。カニューレ交換の際、挿管しづらく、痛みを伴うというデメリットがある。

ガス分析
ガス分析とは動脈血液ガス分析のことです。注射で動脈血を取り、測定装置で調べると血中の二酸化炭素濃度や酸素濃度がわかります。
パルスオキシメーター(脈拍と血中酸素濃度を測る機器)やカプノメーター(呼気の二酸化炭素濃度を測る機器)でも測定できますが、直接血液を採って分析する方がより正確です。息苦しさがある、朝起きると頭痛がするなどの症状が出てきたら動脈血液ガス分析で二酸化炭素濃度を測定してもらうことをお勧めします。二酸化炭素濃度の正常値は30%台です。数値が高いようなら人工呼吸器が必要です。

気管切開
ベンチレーターを使用するために気管を切開し、呼吸を可能にする手術。

気道内圧上限/下限
気道内圧とは、気道にかかる圧のことで、ベンチレーターを使用する際には、あらかじめ気道にかかる圧の上限と下限を設定します。気道内圧を計る単位としてセンチが使われます。

ベンチレーターは、気道内圧モニターによって気道内圧をモニタリングしていて、設定された上限に達したときは高圧アラーム、下限に達したときは低圧アラームを鳴らして知らせる仕組みになっています。気道内圧が高い場合は、気道や肺を傷つけてしまうこともあるので、注意します。逆に低い場合は、リーク(空気漏れ)を起こしてきちんと換気されていないのでユーザーにとって苦しいなど、不都合が生じます。

気道内圧が高い場合は、回路の呼気弁がふさがっていたり、何かの下敷きになるなどして蛇腹管に空気が通りにくくなっていたり、痰がつまっていることなどが原因であることが多いので、それらがないかどうかチェックします。また、気道内圧が低い場合、回路のどこかがはずれてリークしていると考えられるので、正しく回路がつながっているのかチェックする必要があります。

吸引
吸引器を使用して気管内の痰または口腔内にたまった唾液などを取り除く行為。自力で排痰のできない人が必要とするケアの1つ。一定の研修を受ければ誰でもできるケア。

キュイラス
胸郭外陰圧式ベンチレーターのこと。「チェストシェル」とも呼ばれる。胸部に装着する鎧のような固い器具で、タンク内が陰圧になった時に胸郭が広げられて吸気がおこり、陽圧になると胸郭がしぼみ呼気がおこるという人工呼吸装置。陽圧式ベンチレーターが主流となった現在、キュイラスの使用者は少なくなっている。

吸気流速
吸気流速とは分単位の吸気(吸気が肺に入ってくる)スピードのことです。吸気流速の値が高くなると気道内圧が高くなります。I:E比の設定が変わると吸気流速の設定も変わります。

筋ジストロフィー
進行性筋ジストロフィー。全身の筋力が低下する障害。障害が進むとベンチレーターが必要になってくる場合がある。

キシロカインゼリー
キシロカインゼリーは、気管切開をしている方が気管カニューレの交換時に使用する物でいわば麻酔の役割をするものです。このゼリーをカニューレの気管挿入部に塗り、交換をします。ゼリーを塗ることによって気管切開部の痛みを和らげます。
今回ご紹介した製造元である静岡フジサワ株式会社のものが主なようですが、他の医薬品関係のお店や、企業でも取り扱っているようです。

血液ガス分析
動脈血液ガス分析のこと。動脈血を調べることで血中の二酸化炭素濃度や酸素濃度がわかり、呼吸がうまくできているかどうかの大きな目やすとなる。

血液検査
血液は体の状態を反映している。体のどこかに異常があると、血液成分にも変化が現れるため血液検査は適切な治療の方針を立てるための欠かすことのできない検査。血液の酸素や二酸化炭素濃度によって呼吸機能の低下がわかる。

血中二酸化炭素濃度
血中の二酸化炭素濃度。正常値は35〜40%。

誤嚥・誤飲
食物や水、唾液などが食道ではなく気管の方に入ってしまうこと。筋力の低下で飲み込む力が弱くなることで起こる。

呼吸回数
1分間に送る空気の回数。使用者の状況によって設定が異なる。

呼吸モード
ベンチレーターには基本的に3種類の呼吸モードがあります。それらについて説明します。

コントロールモード
自発呼吸モードともいいます。使用者自身の吸気努力に反応して換気を行いますが、アシストコントロールやSIMVとは違い、吸気努力がないと換気されません。自発呼吸がある程度あり、いずれベンチレーターを外すことを前提にしている人の為のモードと言えます。

サーチレーション
血液中の酸素濃度を計ること。血液検査やパルスオキシメーターで測定することができる。

サイドチューブ
カフつきカニューレについているチューブ。カフを膨らませた際にカフの上に溜まった痰を吸引するために用いられる。吸引器に直接接続して吸引する。